Get Backセッションの8時間におよぶ未公開フィルムがディズニープラスで配信され、ルーフトップ・コンサートを中心にまとめたフィルムが映画館で限定上映されました。
海賊版フィルムで画質の悪い映画『Let It Be』を観ていた頃を思うと、ファン冥利につきる昨今です。
さて先日映画館でルーフトップ・コンサートを観た私は、久しぶりにある説を思い出しました。
「ルーフトップ・コンサートに警官がかけつけたのはやらせではなかったのか」です。
これについては中山康樹著「ビートルズの謎」(2008年出版)に詳しく記されています。
本の中で中山氏は映画『Let It Be』の警官ついて「ルーフトップ・コンサートには台本があり、警官の登場もすでに組み込まれていたと考えられる」と推測しています。
その根拠として以下のように述べています。
①警官の行動が不自然
1.「アップルの受付ロビーにカメラを設置しておいた。誰にも気づかれないように窓の裏に隠しておいて、入ってくる人たちを撮っていたんだ。警察とかいろんな人がやってきて、『あんなことをやっていいと思ってるのか! 早くやめろ』って言ってたよ」とジョージがアンソロジーの中で回想している。映画『Let It Be』では警官の音声が意図的に消されているので何をしゃっべっているのか不明だが、ジョージが言うような激しい口調ではなかったことは映画のシーンから明らか。
2.警官の目的が演奏をやめさせることなら屋上に行く必要はない。広報担当のデレク・テイラーやジョージ・マーティンに説明し、彼らスタッフがビートルズに伝えるというのが一般的な筋道だろう。ところが映画『Let It Be』では、警官は最初からそうすることが当然であるかのような表情で屋上に上がっていくように見えて、このシーンはきわめて不自然。
②ポールのセリフが”できすぎ”
警官が屋上に来てから最後の「Get Back」のエンディングで、ポールが「また屋上で遊んでしまったね。ママが嫌がってるのは知ってるだろ。怒られるぞ。逮捕されるぞ。さあ、帰ろう」(You been playing on the roofs again and that's no good 'cause you know your mommy dosen't like that. Oh she get's angry, she gonna have you arrested, get back.)と歌ったのは、警官が横やりを入れてくることが前提のセリフであり、最後の曲で警官が姿を見せることをポールは知らされていたのではないか。警官は本物ではなく、役者だったのかも知れない。