デビュー・シングル「ラブ・ミー・ドゥ(Love Me Do)」リリースの後、プロデューサーのジョージ・マーティンはビートルズのセカンド・シングルとして、プロのソング・ライターが作った楽曲「ハウ・ドゥ・ユー・ドゥ・イット(How Do You Do It ?)」を用意していた。用意された楽曲を録音したビートルズだったが、オリジナルにこだわる彼らはアップ・テンポにアレンジし直した「プリーズ・プリーズ・ミー」を聴かせてジョージ・マーティンを納得させ、彼らのオリジナル曲「プリーズ・プリーズ・ミー」がセカンド・シングルになった。
そして1週間後の9月11日に2回目のレコーディングが行なわれ、この時にレコーディングされた曲が「ラブ・ミー・ドゥ」と「ラブ・ミー・ドゥ」のB面になった「P.S.アイ・ラブ・ユー(P.S. I Love You)」と、そして「プリーズ・プリーズ・ミー」なのです。 つまり「プリーズ・プリーズ・ミー」はセカンド・シングル候補ではなく、もともとはデビュー・シングル候補だったわけです。
Q:ビートルズのデビュー・シングルをプロデュースすることになったとき、彼らのレパートリーには‘I Saw Her Standing There’や‘Ask Me Why’などがあったのに、‘Love Me Do’というわりとシンプルなものを選曲された経緯についてお話いただければ、と思います。
A:ビートルズと最初に会ったとき、‘I Saw Her Standing There’を聴かされたことはなかったように思うね。いずれにしても、そのとき演奏された曲はどれもぱっとしなくて、‘Love Me Do’が「悪くない」という程度だった。あのハーモニカの部分が気に入ったんだ。耳に残って、印象的だと思ってね。ほかには‘P.S. I Love You’や‘One After 909’といった曲だけだった。